緑の波から深紅の絶景へ——2026年、北海道「ゆにガーデン」が旅人を惹きつけてやまない理由
ゆ に ガーデンは、いまや単なる北の大地の観光庭園という枠組みを完全に超えてしまった。札幌から車を東へ走らせること約1時間。夕張郡由仁町(ゆにちょう)のなだらかな丘陵地帯に足を踏み入れた瞬間、視界一面に広がる圧倒的なランドスケープに思わず息を呑む。どこまでも澄み渡る北海道の空と、肌をなでるハーブ混じりの涼風。スマホの通知に追われる日常から逃れ、五感のすべてを解放する体験がここにはある。
春の訪れを告げるクロッカスやチューリップ、初夏を彩るリナリアやアジサイ、そして秋の丘を燃えるような赤に染め上げるコキアの大群生。訪れる季節ごとに全く異なる物語を紡ぎ出すゆ に ガーデンの存在感は、旅の価値観が「モノの消費」から「本質的な癒やしと体験」へとシフトした2026年の今、国内外のツーリストから熱い視線を集めている。
圧倒的なスケール感:3万株のコキアが魅せる「紅のグラデーション」
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秋のゆにガーデンを語る上で、外すことのできない主役がコキア(ホウキグサ)だ。広大な「コキアの丘」を埋め尽くす約3万2,000株もの緑のモコモコとした球体は、7月から8月にかけて力強いライムグリーンで夏の陽光を浴びる。
圧巻なのは9月下旬から10月中旬にかけての変容だ。気温の低下とともに、緑から黄色、淡いピンク、そして燃え立つような深紅へと徐々に衣替えしていく。その移ろいは一日として同じ表情を見せない。完璧な紅葉のピークも息を呑む美しさだが、緑と赤がマーブル状に混ざり合うグラデーションの時期こそが最も幻想的だと語るリピーターも多い。丘の頂から見下ろすと、まるで大地に敷き詰められた真紅の絨毯が風に波打っているかのような錯覚に陥る。
英国伝統の美学と北の大地が共鳴する「14のテーマガーデン」

この場所の魅力はコキアだけにとどまらない。敷地内には英国式庭園の設計思想をベースにした14のテーマガーデンが点在し、それぞれが独自の生態系と美学を主張している。
例えば、初夏に紫や白の花穂を揺らす「フレグランスガーデン」では、数十種類に及ぶハーブが芳醇なアロマを放つ。手でそっと葉に触れるだけで、指先に立ち上るミントやラベンダーの清涼な香り。歩道にはウッドチップが敷き詰められ、足裏から伝わる柔らかな感触が歩くリズムを自然と緩めてくれる。計算し尽くされた色彩設計のボーダーガーデン、水辺の涼やかさを演出するウォーターガーデンなど、歩を進めるごとに風景のカットが鮮やかに切り替わっていく。
「見る」から「味わう」へ:由仁産野菜とハーブが織りなすローカルガストロノミー

庭園を五感で楽しんだ後は、味覚の探求が待っている。施設内のレストランで提供されるランチビュッフェは、庭園散策と並ぶもう一つのハイライトだ。
由仁町は道内でも有数の農業地帯。肥沃な土壌で育った採れたての瑞々しい地元野菜や、園内で丁寧に栽培されたフレッシュハーブをふんだんに使った創作料理がずらりと並ぶ。過度な調味料に頼らず、素材本来の力強い甘みと苦味を引き出したメニューは、身体の隅々にまで染み渡るようだ。ハーブティーのカウンターでは、専門スタッフのアドバイスを受けながら自分好みのオリジナルブレンドを淹れることもできる。窓一面に広がる緑を眺めながら味わう一杯は、極上のリフレッシュメントとなる。
2026年の旅行者が求める「沈黙とウェルネス」の聖地
慌ただしい観光地巡りとは対照的な「スロートラベル」の拠点として、ゆにガーデンが再評価されている背景には、現代人のメンタルヘルスへの意識の高まりがある。
早朝の園内に響くのは、梢を揺らす風の音と野鳥のさえずりだけ。木陰のベンチに深く腰掛け、ただ本を開いたり、移ろう雲の影を眺めたりする。何もしないことの豊かさを実感できる環境がここには整っている。近年注目される「森林セラピー」や「ガーデンウェルネス」の観点からも、植物が放つフィトンチッドと土の香りは、ストレスで張り詰めた神経を優しく解きほぐしてくれる。
賢く巡るための実践ガイド:混雑回避とベストな時間帯
ゆにガーデンの魅力を余すところなく堪能するためには、訪れる時間帯の選択が極めて重要になる。
特に秋のコキアシーズンは混雑が予想されるため、開園直後の時間帯を狙うのがベストだ。朝露に濡れた花壇や、斜めから差し込む柔らかい朝光に照らされたコキアは、写真愛好家にとっても絶好のシャッターチャンスとなる。また、西日が丘を染める夕暮れ時も見逃せない。光の角度によってコキアの陰影が際立ち、息を呑むほどドラマチックな光景が広がる。
アクセスは新千歳空港から車で約35分、JR室蘭本線の由仁駅からはタクシーで約5分と良好。近隣には美肌の湯として知られる「ユンニの湯」もあり、庭園散策の後に褐色の天然温泉でゆったりと汗を流すルートが定番の人気コースとなっている。
庭園が切り拓く地域再生の未来:持続可能なツーリズムへ
地方の過疎化が課題となる日本の地域社会において、ゆにガーデンが果たす役割は単なるレジャー施設にとどまらない。
地元農家とのダイレクトな連携、地域の雇用創出、そして環境保全に配慮したオーガニックな庭園管理など、持続可能なエコツーリズムの先進事例としても注目を集めている。自然と人間が調和しながら作り上げた美しい景観を守り、次世代へと受け継いでいく。由仁町の豊かな大地に咲き誇る花々は、地域の明日を照らす希望の光そのものなのだ。 (出典: ゆ に ガーデン(Yahoo!ニュース))