新千歳から35分の隠れ家へ——2026年、いま「こぶし の 湯 あつま」が心ほどける週末リトリートとして愛される理由
こぶし の 湯 あつまは、北の大地の玄関口である新千歳空港から車をわずか30分余り東へ走らせた先、広大な田園と山林に抱かれた厚真町に静かに息づく温泉施設だ。飛行機を降りてレンタカーのエンジンをかけ、都会の喧騒を背後に流れる景色へと置き去りにしていく。道道287号を進むにつれ、車窓の緑は深まり、いつの間にか張り詰めていた肩の力がふっと抜けていくのを感じるはずだ。
忙しない日常のスピード感に少し疲れたとき、思い立ってこぶし の 湯 あつまの暖簾をくぐる旅人が後を絶たない。どこか懐かしい木造の温もりが漂う館内。地元の人々が交わす穏やかな挨拶。華美な装飾で着飾るリゾートホテルとは一線を画す、等身大の安らぎがここにはある。
肌を滑らかに包み込む、湯冷め知らずの天然温泉

大浴場に足を踏み入れると、柔らかな湯煙の向こうに広々とした湯船が広がる。泉質はナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性低張性冷鉱泉)。地下深くから汲み上げられた湯は、肌に吸い付くようなトロリとした肌触りが特徴だ。湯船に体を沈めた瞬間、じんわりと芯から熱が染み渡っていく。
露天風呂に出れば、そこはもう北海道の澄んだ外気の世界だ。昼はどこまでも高い北国の青空を、夜には街明かりに邪魔されない満天の星を仰ぎ見ることができる。耳を澄ませば、風が梢を揺らす音と湯口から注ぐ水音だけ。余計なBGMは一切ない。
外気浴で深く呼吸する、静かなサウナのひととき

近年のサウナ熱の高まりとともに、ここのサウナを目当てに訪れる愛好家も増えた。決して派手なオートロウリュがあるわけではない。しかし、しっかりとした熱気で満たされたサウナ室と、キリリと冷えた地下水の水風呂、そして何よりも露天スペースでの外気浴のクオリティが際立っている。
デッキチェアに深く身を預け、冷涼な森の空気を肺いっぱいに吸い込む。熱を帯びた皮膚の表面を北風が撫でていく感覚は、言葉にできない爽快感をもたらす。頭の中がクリアに澄み渡る「ととのい」の瞬間を求めて、日帰り利用客が夕暮れ時に足を運ぶ理由がよく分かる。
厚真ならではの美食——名物ジンギスカンと地元米の誘惑

湯上がりの楽しみといえば、やはり館内レストランで味わう地場産の食事だ。厚真町といえば、北海道民の間でも知る人ぞ知る「あつまジンギスカン」の本拠地。特製のタレに漬け込まれた肉は驚くほど柔らかく、噛むほどに旨味が溢れ出す。ジュージューと鉄板で焼き上げる香ばしい匂いだけで、喉が鳴る。
肉の旨味を受け止めるのは、清らかな雪解け水で育まれた厚真町産のお米「さくら米」や「ななつぼし」だ。ふっくらと炊き上がった白米の甘みとタレの相性は抜群。さらに地元特産のハスカップを使った爽やかなデザートやジュースを添えれば、この土地の恵みを丸ごと味わい尽くす贅沢なディナーが完成する。
震災を越えて育まれた、地域と旅人を結ぶあたたかな空気
厚真町は2018年の北海道胆振東部地震で大きな試練を経験した場所でもある。当時、地域の復興拠点となり、町民やボランティアたちの心と体を温め続けたのがこの温泉だった。困難を乗り越えて今日まで紡がれてきた歴史があるからこそ、スタッフの笑顔や接客には温もりが宿る。
単なる通過点としての観光地ではなく、訪れる人を家族のように迎え入れてくれる空気感。湯上がりのロビーで地元の常連客が談笑する風景を眺めているだけで、不思議と心がほどけていく。
空港から好アクセスの立地が叶える、スマートな旅のプランニング
旅のスケジュールにおいて、立地の良さは大きな魅力だ。新千歳空港から車で約35分、苫小牧フェリーターミナルからも約40分というアクセスの良さは、北海道旅行の初日や最終日の滞在先として理想的といえる。
フライト直前の数時間で立ち寄り、旅の疲れを洗い流してから空港へ向かうもよし。夕方に到着してそのままチェックインし、夜の露天風呂とジンギスカンを堪能して翌朝の道内ドライブに備えるもよし。過密な移動スケジュールに追われない、大人のゆとりある旅がここから始まる。
何もしない時間を楽しむ、宿泊棟での穏やかな夜
日帰り入浴だけでなく、併設された客室での宿泊体験も捨てがたい。和室や洋室が用意された宿泊棟は、清潔でどこかアットホームな落ち着きがある。窓の外に広がるのは、夜の帳が下りた静かな厚真の森だ。
スマートフォンを置き、湯上がりの火照った体でお茶をすすりながら読書にふける。あるいは、早朝の澄み切った空気の中で誰もいない朝風呂を独り占めする。特別なイベントを用意しなくても、「何もしない贅沢」がここには満ちている。次の休日は、心と体をリセットする静かな湯旅へ出かけてみてはいかがだろうか。 (出典: こぶし の 湯 あつま(Yahoo!ニュース))