標高1,800メートルの極上濁り湯へ——2026年、なぜ旅人は「万座高原ホテル」の石庭露天風呂に吸い寄せられるのか
万 座 高原 ホテルの玄関を一歩踏み出した瞬間、ひんやりとした高山の風とともに、圧倒的な硫黄の香りが鼻腔を突いた。標高1,800メートル。上信越高原国立公園の懐深く、荒々しい山肌と白い噴煙が交錯するこの地は、日本屈指の濃厚な硫黄泉が地中から絶え間なく湧き出す別天地だ。視界を遮る高層ビルなどどこにもない。視界に広がるのは、ただ雄大な空と、谷間に立ち込める乳白色の湯けむりだけである。
スマートフォンの通知音に追われ続ける日常を抜け出し、現代人がいま静かに目指すのが、群馬の名峰に抱かれた万 座 高原 ホテルの野趣あふれる湯船だ。効率至上主義の社会で擦り切れた心身を、地球の胎動そのもののような熱湯に沈める。ここでは誰もが時計を見ない。ただ湯の温度を手で確かめ、エメラルドグリーンに濁る水面に身を委ね、吐き出す息の白さに深い安らぎを見出している。
「石庭露天風呂」に広がる色彩の奇跡——4つの自家源泉が織りなす湯巡り

このホテルの代名詞といえば、渓流沿いに広がる「石庭露天風呂」をおいて他にない。巨石をダイナミックに組み上げた8つの浴槽。そこに注がれるのは、敷地内から自噴する4種類もの自家源泉だ。
驚くべきは、その湯の色彩である。同じ敷地でありながら、引き込む源泉や日の光の加減によって、透明感のある黄色、目の覚めるようなエメラルドグリーン、そして濃厚な乳白色へと表情をガラリと変える。特に名高い「苦湯(にがとう)」は、肌にピリリと心地よい刺激を与え、湯上がりの肌をしっとりと包み込む。浴槽ごとに湯温も泉質も微妙に異なるため、冷たい高山の外気を浴びながら湯から湯へと渡り歩く時間は、まさに極上の温泉アミューズメントといえる。
標高1,800mの「星空と湯けむり」——混浴露天風呂が現代に紡ぐ開放感

石庭露天風呂の多くは混浴スタイルをとっている。専用の湯浴み着やバスタオル巻きが定着した現代において、ここは家族やカップル、旅の仲間が気兼ねなく同じ絶景を共有できる貴重な空間となった。
夜の帳が下りると、露天風呂の表情は一変する。人工の明かりが極限まで削ぎ落とされた湯面には、満天の星が降り注ぐ。標高1,800メートルの澄み切った空気は、手の届きそうなほど近くに天の川を浮かび上がらせる。湯けむりの向こうで聞こえるのは、沢の水音と風が笹を揺らす音だけ。都会では決して味わえない圧倒的な静寂が、湯客の心を静かに解きほぐしていく。
2026年の湯治スタイル:デジタルデトックスと「プチ湯治」の新しい波

近年、20代から40代のビジネスパーソンの間で「プチ湯治」という選択肢が定着しつつある。数週間の長期滞在ではなく、2泊3日や3泊4日程度で集中的に心身をリセットするスタイルだ。
万座の高濃度硫黄泉は、古くから呼吸器疾患や皮膚病、冷え性などに効能があるとされ、湯治場として栄えてきた歴史を持つ。さらに標高1,800メートルという高地気候そのものが、滞在するだけで新陳代謝を促す効果を持つ。Wi-Fiを切断し、朝から晩まで温泉と睡眠に身を捧げる。かつて高齢者の文化だった湯治は、今や最も贅沢なメンタルリカバリー法として再定義されている。
地産地消を味わう高原ビュッフェ——上州の恵みと気取らない団らん
温泉三昧の後に待っているのは、地元・群馬の味覚をふんだんに取り入れたディナービュッフェだ。気取った懐石料理ではなく、自分のペースで好きなものを好きなだけ楽しむスタイルが、高原リゾートのリラックスした雰囲気に心地よく馴染む。
上州麦豚のローストポークや、近隣の高原で採れたシャキシャキの高原野菜、滋味深い山菜料理や地元名物の手切りこんにゃく。温泉で適度に空いた胃袋に、素朴でありながら丁寧に仕上げられた郷土の味が染み渡る。ライブキッチンから漂う香ばしい匂いと、湯上がりの浴衣姿で交わす乾杯の音が、旅の夜をあたたかく彩る。
万座プリンスホテルとの「湯めぐり」連携がもたらす圧倒的な泉質体験
万座高原ホテルに宿泊する大きなメリットのひとつが、徒歩や無料シャトルバスで行き来できる姉妹館「万座プリンスホテル」との相互湯めぐりだ。
渓流のすぐそばに佇み、岩に囲まれた野趣あふれる万座高原ホテルの「石庭露天風呂」に対し、万座プリンスホテルは標高の高さを生かした「絶景のパノラマ露天風呂」が自慢。視界一面に広がる山並みと青空を仰ぎ見るプリンスの湯と、大地の懐に抱かれるような高原ホテルの湯。趣のまったく異なる2つの名湯を行き来することで、万座温泉が誇る湯の深淵を余すところなく味わい尽くすことができる。
四季が魅せる劇的な変貌——真夏の別天地から白銀のパウダースノーまで
万座の魅力は、訪れる季節によってその色彩と体験が劇的に移り変わる点にある。平野部が猛暑に喘ぐ真夏でも、日中の気温が25度を超えることは稀で、朝晩は長袖が必要なほどの涼しさを誇る。
秋になれば、ダケカンバやナナカマドが山肌を燃えるような赤と黄金色に染め上げ、湯船から極上の紅葉狩りが楽しめる。そして冬。極上のパウダースノーが降り積もる白銀の世界の中、雪に埋もれるようにして浸かる雪見風呂は、まさに日本の冬の極致だ。季節ごとに異なる表情を見せる万座高原ホテルは、一度訪れた者を何度でも引き戻す魔力に満ちている。 (出典: 万 座 高原 ホテル(Yahoo!ニュース))